ニュース

若手農家に『お金の話』を教えなきゃいけない理由

若手農家に『お金の話』を教えなきゃいけない理由

農家の脳を耕す農業講演家の山下弘幸です。農業歴37年、 稼げる農家を全国に。 農業、農村の課題と対策を分かりやすく解説しています。 今回のテーマは 若手農家に『お金の話』を教えなきゃいけない理由 先日は山形県で農業ビジネス講座 を行ってきました。   テーマは事業経営と財務諸表。   正直に言うと、内容だけ聞けばかなり堅苦しいテーマです。   ですが今回は、 「どうやったら“意識の高い農家”が、楽しく、前向きに学べるか」 そこに全力を注ぎました。   今回、改めて感じたことがあります。   農業者の課題の多くは、 実は お金の問題で解決できる ものがほとんどです。   ・事業を拡張したい ・人を雇いたい ・設備投資をしたい   どれも結局は「お金」の話。   だからこそ...

「勝者は誰だ!新・農業ゲームのルール解説」

「勝者は誰だ!新・農業ゲームのルール解説」

今回のテーマは「勝者は誰だ!新・農業ゲームのルール解説」 昨日今日と、中小企業大学で「農業ビジネス講座」を2日間。 全12講座をすべて担当させていただきました その講義内容が非常に勝ったので、メルマガ読者の皆様にも共有したいと思います。 ■ 1.国が「食」に本気になっている理由   今、国は食料確保=食料安全保障を最重要テーマとして捉えています。   その背景には大きく3つあります。 地政学リスク(紛争・国際情勢) 異常気象・災害による生産不安 食料輸入依存という構造のリスク この3点が絡み合って、「日本が食を自分たちで確保しないといけない」という 強い危機感があるからです。 正しくは、農業・食品産業への注目度はこれまで上に向いているのです。   ■ 2. 農業ビジネスの全体像 ― 3つの基礎軸 山下の講座では、農業ビジネスを次の3つの軸から整理しています。 食品化(保存性・価値化) ストック(倉庫・在庫管理) 国内流通+輸出という販売経路の拡張   農業を「作る仕事」だけでなく、 商品化 →...

農家だけを見ていると、あなたの人生が曇る。

農家だけを見ていると、あなたの人生が曇る。

今回のテーマは「農家は農家だけを見ていると、目が曇る。」 農業は目的ではない。自己実現の“手段”である理由   農業をしていると、どうしても視界が「農家」という同じ世界の中で閉じてしまいがちです。 同じ人と、同じ価値観の中で、同じ毎日が回っていく。 気がつけば、「この世界がすべて」と思い込んでしまうのです。   しかし現実には、社会はもっと広く、複雑で、多様です。 学校の先生も、お医者さんも、大工さんも、みなそれぞれ自分の世界の中で生きています。 だからこそ、どの業界でも同じ悩みが生まれる。“外が見えなくなる”という現象です。   そして、この“外が見えなくなる状態”こそが、イノベーションの最大の敵です。   イノベーションは、外から来る   歴史を見ても、組織を変えてきたのはいつも「よそ者・若者・馬鹿者」。 既存のルールに染まりきってない人、常識に縛られない人、少し変わっている人。 そして、まだその業界にどっぷり浸かっていない人たち。   私自身の役割は、まさにその“外”と“内”をつなぐ橋渡しだと思っています。 農業の現場を知りつつ、外の世界から流れてくる風も知っている。 だからこそ、内向きに閉じてしまった視線を「外向きにしよう」と伝えてきました。   本当の自分の価値観に気づくこと   先日講師として呼んでいただいた農業経済同友会セミナーでは ご参加いただいた農家の方に「人生の棚卸し」をしていただきました。 これは、本当の自分を取り戻す作業です。   多くの農家は、こう自分に言い聞かせてきたはずです。...

【男のロマンは女の不安】農家夫婦がすれ違う本当の理由

【男のロマンは女の不安】農家夫婦がすれ違う本当の理由

農家の脳を耕す農業講演家の山下弘幸です。 農家を全国に。 農業、農村の課題と対策をわかりやすく解説しています。 選択のテーマ:男のロマンは女の不安 農業をやる男性は本当に真面目で頑張り屋が多い。畑に出て汗をかき、肥料のこと、資材のこと、新しい技術のこと……とにかく「農業が好きで一生懸命」な人ばかりです。 ところで——その一生懸命さが、そのまま奥さんの「不安」に変わってしまうケースが意外と多いです。 ■皆さんは不安になるのか? ①現場が「見えない」 最近は女性が袋詰めや出荷作業を担当することも多く、畑で起きている細かい状況までは把握できません。 ただ、その努力が「正しいのかどうか」判断できない。 ここが不安の種になります。 ②高い資材を買う姿を横で見るから 勉強会に参加した直後、やったら高い肥料や高価な葉面散布剤を買ってきました。 農業男子としては「よし、投資だ!」とワクワクしている。 「ねえ、本当にそれ必要なの?」 ——これ、全国の農家の家庭で起きています(笑) ■でズレる「お金の夫婦感覚」 農家の多くは家族経営。そして財布の決定権は夫が入っていることが多い。 奥さんは「うちはどれくらい売れて、どれくらいお金がかかっているのか」全体像を知らない日々が過ぎてしまう。 さらに家計や子育ては奥さんが担当し、「必要な分だけもらう」というスタイルの家庭も多い。 ■ 山下家でも同じだった話 私自身も、昔は農業のことを妻に一切相談しませんでした。理由は簡単で、 言っても反対される 面倒だから ボンボン育ちで、反対されることに慣れていない 今思えば、完全に独裁型経営者の思考でした(笑) ■男側の「あるある」問題 当時の私は本気でこう思っていました。 「俺が畑で一番汗かいても頑張ってるんだ!だから細かいこと言われる筋合いない!」...

頑張る若手農家のための「良い出会いを引き寄せる方法」

頑張る若手農家のための「良い出会いを引き寄せる方法」

今回のテーマは「良い出会いを引き寄せる方法」   最近ふと振り返ることがあります。 「なぜ、自分のまわりには“後にトップになる人”が多かったのか?」と。   20代の頃は、まだ社会のことなんてよく分かっていない時期でした。 フラフラして、親の農業を手伝ったり、飲み屋でバイトしたり。 当時、1店舗しかなかったその飲食店は、いまや熊本で数店舗展開し、 コロナ禍でもつぶれず、地域ナンバーワンの人気店になっています。   その後働いていたリサイクル会社やイベント会社も、 当時は小さな組織でしたが、いまでは地元のトップ企業に成長しました。   農業に本腰を入れ始めてから出会った先輩農家は、 “日本でも指折り”と言われるほどの人気生産者になっています。   将来の夢を語り合っていた、2つ上の先輩。 「いつか大物になる」と本気で言っていたその方は、 本当に国会議員になりました。   そして37歳のときにコラボした農業ベンチャー企業。 当時は風が吹いたら飛ばされそうな弱小企業でしたが、 今では業界ナンバーワンの存在です。   なぜだろう? どうしてこんなに“伸びる人たち”と出会うことができたのか。   ■ なぜ「良い出会い」を引き寄せてきたのか?  ...

人手不足の正体と、その解決法

人手不足の正体と、その解決法

農家の脳を耕す農業講演家の山下弘幸です。農業歴36年、 稼げる農家を全国に。 農業、農村の課題と対策を分かりやすく解説しています。 今回のテーマは「人手不足の正体と、その解決法」 今、あらゆる業界で「人手不足」が問題になっています。 今日の新聞でも、飲食店が人手不足により閉店したという記事が出ていました。 もちろん農業も例外ではありません。しかし、この“人手不足”という言葉は、ひとつの現象に見えて、その内実はまったく違う2つの不足が混在しています。   ひとつは、単純に“現場で動いてくれる人が足りない”という不足。 もうひとつは、“判断し、現場を回せる人が足りない”という不足です。   この2種類が混ざって議論されているため、問題は複雑化し、対策が的外れになりやすいのです。   ■あなたはどっち?農業で起きている「2つの人手不足」   農家の現場では、まず「ワーカー不足」があります。 草取り、収穫、選別、運搬といった作業を担う人がいない。   同時に、「任せられる人が育たない」という悩みも深刻です。 判断できる人がいない。自分の代わりに現場を回せる人がいない。 その結果、経営者はいつまでも現場に張り付き、離れられなくなる。   実際、私自身も家業の農業をやっていた頃、 一番つらかったのは「現場を離れられない働き方」でした。 天候の急変やトラブルに備えるため、誰かが必ず畑に残らなければならない。 休める日でも心が休まらない—そんな生活を一生つづけなければいけないのか。 正直なところこういう農業が好きになれませんでした。   もしかしたら今の担い手不足や後継者不足は、まさにこの “離れられない働き方”...