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農家だけを見ていると、あなたの人生が曇る。

農家だけを見ていると、あなたの人生が曇る。

今回のテーマは「農家は農家だけを見ていると、目が曇る。」 農業は目的ではない。自己実現の“手段”である理由   農業をしていると、どうしても視界が「農家」という同じ世界の中で閉じてしまいがちです。 同じ人と、同じ価値観の中で、同じ毎日が回っていく。 気がつけば、「この世界がすべて」と思い込んでしまうのです。   しかし現実には、社会はもっと広く、複雑で、多様です。 学校の先生も、お医者さんも、大工さんも、みなそれぞれ自分の世界の中で生きています。 だからこそ、どの業界でも同じ悩みが生まれる。“外が見えなくなる”という現象です。   そして、この“外が見えなくなる状態”こそが、イノベーションの最大の敵です。   イノベーションは、外から来る   歴史を見ても、組織を変えてきたのはいつも「よそ者・若者・馬鹿者」。 既存のルールに染まりきってない人、常識に縛られない人、少し変わっている人。 そして、まだその業界にどっぷり浸かっていない人たち。   私自身の役割は、まさにその“外”と“内”をつなぐ橋渡しだと思っています。 農業の現場を知りつつ、外の世界から流れてくる風も知っている。 だからこそ、内向きに閉じてしまった視線を「外向きにしよう」と伝えてきました。   本当の自分の価値観に気づくこと   先日講師として呼んでいただいた農業経済同友会セミナーでは ご参加いただいた農家の方に「人生の棚卸し」をしていただきました。 これは、本当の自分を取り戻す作業です。   多くの農家は、こう自分に言い聞かせてきたはずです。...

【男のロマンは女の不安】農家夫婦がすれ違う本当の理由

【男のロマンは女の不安】農家夫婦がすれ違う本当の理由

農家の脳を耕す農業講演家の山下弘幸です。 農家を全国に。 農業、農村の課題と対策をわかりやすく解説しています。 選択のテーマ:男のロマンは女の不安 農業をやる男性は本当に真面目で頑張り屋が多い。畑に出て汗をかき、肥料のこと、資材のこと、新しい技術のこと……とにかく「農業が好きで一生懸命」な人ばかりです。 ところで——その一生懸命さが、そのまま奥さんの「不安」に変わってしまうケースが意外と多いです。 ■皆さんは不安になるのか? ①現場が「見えない」 最近は女性が袋詰めや出荷作業を担当することも多く、畑で起きている細かい状況までは把握できません。 ただ、その努力が「正しいのかどうか」判断できない。 ここが不安の種になります。 ②高い資材を買う姿を横で見るから 勉強会に参加した直後、やったら高い肥料や高価な葉面散布剤を買ってきました。 農業男子としては「よし、投資だ!」とワクワクしている。 「ねえ、本当にそれ必要なの?」 ——これ、全国の農家の家庭で起きています(笑) ■でズレる「お金の夫婦感覚」 農家の多くは家族経営。そして財布の決定権は夫が入っていることが多い。 奥さんは「うちはどれくらい売れて、どれくらいお金がかかっているのか」全体像を知らない日々が過ぎてしまう。 さらに家計や子育ては奥さんが担当し、「必要な分だけもらう」というスタイルの家庭も多い。 ■ 山下家でも同じだった話 私自身も、昔は農業のことを妻に一切相談しませんでした。理由は簡単で、 言っても反対される 面倒だから ボンボン育ちで、反対されることに慣れていない 今思えば、完全に独裁型経営者の思考でした(笑) ■男側の「あるある」問題 当時の私は本気でこう思っていました。 「俺が畑で一番汗かいても頑張ってるんだ!だから細かいこと言われる筋合いない!」...

頑張る若手農家のための「良い出会いを引き寄せる方法」

頑張る若手農家のための「良い出会いを引き寄せる方法」

今回のテーマは「良い出会いを引き寄せる方法」   最近ふと振り返ることがあります。 「なぜ、自分のまわりには“後にトップになる人”が多かったのか?」と。   20代の頃は、まだ社会のことなんてよく分かっていない時期でした。 フラフラして、親の農業を手伝ったり、飲み屋でバイトしたり。 当時、1店舗しかなかったその飲食店は、いまや熊本で数店舗展開し、 コロナ禍でもつぶれず、地域ナンバーワンの人気店になっています。   その後働いていたリサイクル会社やイベント会社も、 当時は小さな組織でしたが、いまでは地元のトップ企業に成長しました。   農業に本腰を入れ始めてから出会った先輩農家は、 “日本でも指折り”と言われるほどの人気生産者になっています。   将来の夢を語り合っていた、2つ上の先輩。 「いつか大物になる」と本気で言っていたその方は、 本当に国会議員になりました。   そして37歳のときにコラボした農業ベンチャー企業。 当時は風が吹いたら飛ばされそうな弱小企業でしたが、 今では業界ナンバーワンの存在です。   なぜだろう? どうしてこんなに“伸びる人たち”と出会うことができたのか。   ■ なぜ「良い出会い」を引き寄せてきたのか?  ...

人手不足の正体と、その解決法

人手不足の正体と、その解決法

農家の脳を耕す農業講演家の山下弘幸です。農業歴36年、 稼げる農家を全国に。 農業、農村の課題と対策を分かりやすく解説しています。 今回のテーマは「人手不足の正体と、その解決法」 今、あらゆる業界で「人手不足」が問題になっています。 今日の新聞でも、飲食店が人手不足により閉店したという記事が出ていました。 もちろん農業も例外ではありません。しかし、この“人手不足”という言葉は、ひとつの現象に見えて、その内実はまったく違う2つの不足が混在しています。   ひとつは、単純に“現場で動いてくれる人が足りない”という不足。 もうひとつは、“判断し、現場を回せる人が足りない”という不足です。   この2種類が混ざって議論されているため、問題は複雑化し、対策が的外れになりやすいのです。   ■あなたはどっち?農業で起きている「2つの人手不足」   農家の現場では、まず「ワーカー不足」があります。 草取り、収穫、選別、運搬といった作業を担う人がいない。   同時に、「任せられる人が育たない」という悩みも深刻です。 判断できる人がいない。自分の代わりに現場を回せる人がいない。 その結果、経営者はいつまでも現場に張り付き、離れられなくなる。   実際、私自身も家業の農業をやっていた頃、 一番つらかったのは「現場を離れられない働き方」でした。 天候の急変やトラブルに備えるため、誰かが必ず畑に残らなければならない。 休める日でも心が休まらない—そんな生活を一生つづけなければいけないのか。 正直なところこういう農業が好きになれませんでした。   もしかしたら今の担い手不足や後継者不足は、まさにこの “離れられない働き方”...

変わりたいのに、動けないあなたへ

変わりたいのに、動けないあなたへ

「自分を変えたい」と思ったことはありますか? でも実際には変わって、思っているよりずっと難しいんです。   今日のテーマは「変わりたいのに、動かないあなたへ。」   農業にもある、「見えない壁」を越える方法について。 勇気を出して越えた人だけが、次の景色を見られる。というお話です。   私は今、「農業経営塾」という場で、若手農家のマインドシフトをサポートしています。テーマは「営農」から「経営」へ。   ほとんどの農家は「営農」というスタイルで生きています。   地域に合わせ、昔ながらのやり方、慣れ、価値観で、毎日まじめに農業を続けています。 だけど、そこから一歩抜け出して農家から「経営者」に進むには、 「見えない壁」を越えられないのです。   この壁の正体は「恐れ」と「孤独」です。 そして、それを乗り越えるには、学びと勇気が必要なのです。   ■ 「営農」こそが主流。でも主流が正しいというのは限定的ではない。   この「営農」は存続しても農業はできます。 実際、ほとんどの農家はこのスタイルでやっています。   地域のやり方に思いを馳せ、昔ながらの方法で、周りに合わせながら作り、出荷し、暮らしていきます。 これは一時的にではありません。   しかし、それが「主流=正しい」とされている空気が、今の農業界を窮屈にしているように感じます。 「世の中の大半がそうだから正しい」...

気楽な農業ライフのはずが、いつの間にか「ストレス3倍に

気楽な農業ライフのはずが、いつの間にか「ストレス3倍に

今日のテーマは 気楽な農業ライフのはずが、いつの間にか「ストレス3倍に」 ~家族経営から雇用型へ変わるときのリアルな壁~ 「自然の中で、自分のペースで働けたら…」 「人間関係に悩まない生活がしたい…」 そんな想いから、農業という選択肢を夢見る人が増えています。 特に、都市部のビジネスパーソンにとっては、土に触れ、季節とともに暮らす生き方は、まるで別世界のように魅力的に映ります。   でも、そんな「理想の農業ライフ」を実現しようと踏み出したとき、多くの人が諦めるのが「経営者の壁」です。これは現役の若手農家にもよく見られます。     理想の農業像はこんな感じ 多くの人が思い描く農業ライフは、こんな感じかもしれません。   自宅のすぐそばの畑で、夫婦2人で朝から収穫作業 昼には家で手作りのランチを食べて、午後は出荷準備 忙しいときだけ近所のパートさんが手伝いに来てくれる 作品ができたら、SNSでお客さんに直接販売   夫婦でこぢんまり、自分たちで時間をハンドリングし、自分たちの生活を設計する。 誰かに指示されるわけでもなく、満員電車に振られることもなく、自然とともに生きる。   これは、確かに「憧れの暮らし」ですし、ある意味で本質的な幸福の形かもしれません。   でも――   このスタイルで農業を成立させるのは、実はとても難しいのです。   成立理想しないと、現実の境界線  ...