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気楽な農業ライフのはずが、いつの間にか「ストレス3倍に

気楽な農業ライフのはずが、いつの間にか「ストレス3倍に

今日のテーマは 気楽な農業ライフのはずが、いつの間にか「ストレス3倍に」 ~家族経営から雇用型へ変わるときのリアルな壁~ 「自然の中で、自分のペースで働けたら…」 「人間関係に悩まない生活がしたい…」 そんな想いから、農業という選択肢を夢見る人が増えています。 特に、都市部のビジネスパーソンにとっては、土に触れ、季節とともに暮らす生き方は、まるで別世界のように魅力的に映ります。   でも、そんな「理想の農業ライフ」を実現しようと踏み出したとき、多くの人が諦めるのが「経営者の壁」です。これは現役の若手農家にもよく見られます。     理想の農業像はこんな感じ 多くの人が思い描く農業ライフは、こんな感じかもしれません。   自宅のすぐそばの畑で、夫婦2人で朝から収穫作業 昼には家で手作りのランチを食べて、午後は出荷準備 忙しいときだけ近所のパートさんが手伝いに来てくれる 作品ができたら、SNSでお客さんに直接販売   夫婦でこぢんまり、自分たちで時間をハンドリングし、自分たちの生活を設計する。 誰かに指示されるわけでもなく、満員電車に振られることもなく、自然とともに生きる。   これは、確かに「憧れの暮らし」ですし、ある意味で本質的な幸福の形かもしれません。   でも――   このスタイルで農業を成立させるのは、実はとても難しいのです。   成立理想しないと、現実の境界線  ...

人を使うのが上手な人ほど、人を使っていない

人を使うのが上手な人ほど、人を使っていない

稼げる農業をわかりやすく。 農業講演家の山下弘幸です。 さて、今回のテーマは 「人を使うのが上手な人ほど、人を使っていない」 家を出てから「あ、鍵忘れた!」と気づいたとき、 すぐに「カギ、取ってきて」と頼める人と、 黙って自分で取りに戻る人がいます。   どちらが正しいという話ではありません。 けれど、この違いに「人を使うのが上手な人」と「使われるのが上手な人」の特徴が表れます。   人を使う?使われる?日常に潜む違い 会社で部下を使う立場の人や自営業で人を雇う立場の人は誰でも1度は思うはずです。 人を使うのが上手になりたい・・・   私は人を使うのがとても苦手です。どちらかと言えば人から使われる方が好き。というか 楽だと感じてしまいます。 けれど、きっと同じように感じている方も多いのではないでしょうか。   そこで、なぜ?人を使うのが上手な人と使われる方が楽な人がいるのか私なりに考えてみました。 結論は姉弟が関係しているのではという仮説にたどり着きました。   兄弟構成と「使う力」「使われる力」 たとえば兄弟構成でも、長男は自然と人を動かす側の経験を積み、 弟や妹は動かされる側を経験します。 私は3人姉弟の末っ子長男。つまり二人の姉がいます。 ご想像通り、姉たちに使われてきたので、使われ慣れています。 でも、一人っ子とか年が離れすぎている兄弟とかはこの法則が当てはまりません。   他にも人を使うことが自然と身についた人もいます。...

自由になるほど、不安になる?

自由になるほど、不安になる?

農業,農村課題を経験と知恵でサポートする 農業戦略家の山下弘幸です。 さて、今回のテーマは 「自由になるほど、不安になる?」 私はこれまで多くの人に「農業を始めた方がいい」と伝えてきました。 農業を始める人を応援し、支援するのが私の仕事です。   しかし最近つくづく思うのです。 農業を“始める”前に、まず“関わってみる”ことが大事なのではないかと。   つまり、独立して農業を始めようとしているのなら、 「ちょっと待ってください」。 それよりも「違う形で農業に関わる方法がありますよ」というのが、今回の話です。   農業ベンチャーに入って気づいた“自由”の現実   この考えは、私がかつて農業ベンチャー企業に入った経験から生まれました。 当時の私は「農業をビジネスとしてどう成り立たせるか」を探している最中。 現場に入って初めて、“働く”ということの構造が見えてきたのです。   農業ベンチャーに入って驚いたのは、想像以上に“人間的”な仕事だということ。 作物を育てる以上に、チームを育て、売上を作り、経営を守る。 そこに必要なのは技術ではなく、判断力と責任感でした。   離農と再挑戦   私は37歳のとき、実家の農業を畳みました。 農業の世界ではそれを「離農」と言います。   離農すると、近所ではすぐに噂が広まります。...

「推し農家」という生き方

「推し農家」という生き方

農業,農村課題を経験と知恵でサポートする 農業戦略家の山下弘幸です。 さて、今回のテーマは 「推し農家」という生き方 「あなたは誰を推していますか?そして、誰に推されていますか?農業者が目指すべきは“推し農家”です。」     「最近よく聞く『推し活』。若い人にとっては当たり前ですが、昭和世代の私たちにはどこか不思議で、少し違和感のある言葉です。」   私たちの時代にも「アイドルの追っかけ」はありましたが、それはどこか手の届かない存在への憧れであり、影から応援するものでした。   ところが今の「推し」は違います。若い人に聞いてみると、推しとは かけ離れた存在ではなく、自分のやりたいこと、目指していることを公表して それに向かって夢中になっている。没頭している人に共感して、その人を「応援?」するようなことだそうです。 そして推している側もその人の活動を見ているだけで「生きるエネルギー」や「生きる力」が湧いてくる。そのような「活力源」になるような人を推すのだそうです。   つまり、ただ頑張っている人を応援するだけでなく、自分の人生の意味や元気の源にまでなっているのです。     では、推される人とはどんな人か。 面白いことに、推される人って本人は「自分が推されている」という意識を持っていません。というより、推されるために頑張っているわけではないようです。 推される人の特徴は4つあります ・やりたいことに夢中 ・没頭して挑戦 ・実直に前進 ・明確な目標を持つ   こういう姿勢が自然と人を惹きつけ、「推される存在」になるようです。   例えば、音楽活動をしている人がいて、その子がいずれ大きなステージでLIVEをやりたい!ってひたすら頑張っている姿です。...

農業の担い手はなぜこんなにも少なくなっているのか?

農業の担い手はなぜこんなにも少なくなっているのか?

農業,農村課題を経験と知恵でサポートする 農業戦略家の山下弘幸です。 さて、今回のテーマは 「農業の担い手はなぜこんなにも少なくなっているのか?」 先日、農業トークディスカッションでファシリテーターを務めさせていただきました。 その際、次テーマが大きな話題となりました。   「担い手問題」   私は担い手不足の理由はシンプルだと考えています。 ・農業よりも他の産業の方が魅力的に映ったから ・農業そのものではなく「先代の価値観」を押し付けられるから   これは農業だけでなく、多くの「担い手不足」に悩んでいらっしゃる方に 当てはまるテーマだと思いますので最後までご覧いただけると幸いです。   農業の事業承継のパターン ① 親を見て育つ、ナチュラルな承継 もっとも自然な形は「親の農業を見て育ち、自分もやりたいと思う」ケースです。 親の背中を見て「自分も農業をやるんだ」と感じる。これが理想的でナチュラルな承継の形です。 ② 孫が担い手になるケース 一方で、親は農業をやめてサラリーマンに。 しかし祖父母が細々と農地を守り続け、その孫が改めて担い手となるケースが増えています。 祖父母が守り続けた「農地」や「技術」というインフラを再発見し、新しい世代がそこに魅力を見出すパターンです。 ③ 承継のアドバンテージ 農業の場合、親や祖父母が持っている基盤は大きなアドバンテージです。 ・農地という資産...

やりたいことが見つからない若者に伝えたい一つの答え

やりたいことが見つからない若者に伝えたい一つの答え

さて、今回のテーマは やりたいことが見つからない若者に伝えたい一つの答え 「自分が何に向いているのか分からない」 40年前の私自身も同じでした。   毎年、母校である農大で講義を行う機会を頂いています。 私の講義は農業を教えるというより「これからどう生きるか」に赴き置くようにしています。なぜなら、私が在学していた時未来が見えず、不安を抱えていたからです。   学生たちに講義をする中で多くの学生が抱えているのは 「自分が何に向いているのか分からない」という悩みです。   私が在学していたころ(今から40年ほど前)、農大は農業後継者を育成する 農家養成学校のような色合いでした。 当時は卒業生の7~8割が就農していた時代です。   しかし、今では8割以上が食品、農業関係の仕事に就くようになっています。   そのような中で講義を行うのですが、ついつい将来のことを考えて勉強しなさい。って ことを言いそうになります。   私の子供たちより若い世代へ何を話せばいいのか・・・   やりたいことが見つからないなら「応援する人」になろう 私が受け持つ講演、セミナー、研修、講座の中でこの母校での講義が一番難しい。 そして何を話そうかと一番悩む講座です。   なぜなら、 18歳から20歳というのは、将来のことを考えろと言われてもピンと来ない時期です。   「やりたいことが決まっている人なんて一握り」...