気楽な農業ライフのはずが、いつの間にか「ストレス3倍に

気楽な農業ライフのはずが、いつの間にか「ストレス3倍に

今日のテーマは

気楽な農業ライフのはずが、いつの間にか「ストレス3倍に」

~家族経営から雇用型へ変わるときのリアルな壁~

「自然の中で、自分のペースで働けたら…」

「人間関係に悩まない生活がしたい…」

そんな想いから、農業という選択肢を夢見る人が増えています。 特に、都市部のビジネスパーソンにとっては、土に触れ、季節とともに暮らす生き方は、まるで別世界のように魅力的に映ります。

 

でも、そんな「理想の農業ライフ」を実現しようと踏み出したとき、多くの人が諦めるのが「経営者の壁」です。これは現役の若手農家にもよく見られます。

 

 

理想の農業像はこんな感じ

多くの人が思い描く農業ライフは、こんな感じかもしれません。

 

自宅のすぐそばの畑で、夫婦2人で朝から収穫作業

昼には家で手作りのランチを食べて、午後は出荷準備

忙しいときだけ近所のパートさんが手伝いに来てくれる

作品ができたら、SNSでお客さんに直接販売

 

夫婦でこぢんまり、自分たちで時間をハンドリングし、自分たちの生活を設計する。

誰かに指示されるわけでもなく、満員電車に振られることもなく、自然とともに生きる。

 

これは、確かに「憧れの暮らし」ですし、ある意味で本質的な幸福の形かもしれません。

 

でも――

 

このスタイルで農業を成立させるのは、実はとても難しいのです。

 

成立理想しないと、現実の境界線

 

まず、小規模な農業では収益が限られます。

市場価格に左右される野菜の定番や、自然災害・病害虫などのリスク。

そして、人手が足りないときの負担はすべて自分たちに降りかかってきます。

 

「今度規模を拡大して、もう少し収益を安定させようか」と思ったのですが、

次の壁が立ちはだかります。

 

それが、「人を使う」というフェーズへの突入です。

 

親の退職、人手不足…そして第三者を使う現実

 

家族経営の多くは、親と一緒にスタートします。

農業経験豊富な親の背中を見ながら、日々の作業を思い出していきます。

いずれ親も高齢者になり、退職を迎えます。

 

なお残された自分だけでは回らない。

「人を使わないと、もう無理だ…」と気づいた瞬間が来るのです。

 

ここから、自由だった農業ライフが変わります。

 

「人を使う」という壁は、想像以上に高い

私も25歳の頃、仕事を始めました。何もかもが初めての経験ばかり。その時雇われたのは35歳の女性パートさん。私より年上の方で、社会経験も豊富です。

使われる方は慣れているのに、使う側が初めてというパターン。

何も知らない自分にかなり焦りました。

 

人を雇うというのは、限定「労働力の確保」ということはありません。

 

採用の方法がわからない

 

ついでに、

・求人募集の書き込みがわからない

・給料をいくらに設定していいかわからない

・面接で何を聞いてもいいのかわからない

・雇用契約、議事、労働時間、保険の手続き…

また仕事い始めたら

・何を教えて不安

・作業内容のマニュアル化、指示の仕方、評価基準

・会社のルール(規定)を決める

・トラブルが起きた時の対処法

 

まさか、相手は「家族ではない」。

これまでのように「言わなくても構わない」関係性ではありません。

 

つまり、農業経営は「家族の慣れ合い」から「会社的な組織運営」へと変わっていくのです

全く違う段階に入るのです。

 

気を使う相手が3倍に増える

 

一番どうなんここはできないかもしれません。

これまで家族経営だった場合、親の意見も聞かなければいけない

(引退しているのにたまに現場に近づいて口をはさんでくる)

 

使った人にも気を使ってはいけない

・使った人にも気を使わなければいけない

・でも仕事はきちんとしなくても大丈夫

・怒るとすぐ辞めてしまうので、あまり強く言えない

 

家族とも意思疎通してはならない

(身内は好意があるからすぐ喧嘩になる)

 

気を使う相手が1人→3人になる感覚です。

 

「人を使えば楽になると思ってたのに、それなりにストレスが増えた…」

 

こんな声を、多くの農家さんから聞きます。

 

雇われるストレス vs 雇われるストレス

 

農業に憧れる人の多くが、「会社での人間関係に疲れた」経験を持っています。

上司や同僚との摩擦、評価制度への不満、気を使う日々。

したがって、農業=ストレスフリーな働き方に見えます。

 

さあ、いざ農業で経営者になってみると――

 

・従業員の態度が気になる

・確かに教えても伝わらない

・急にやめられて困る

・保険・労務・行政対応などの雑務が増える

 

今度は、「使用側のストレス」がのしかかってきます。

 

つまり、多くの雇用初心者は

従業員が出ない会社が暑いらしい。って感じているのです。

 

成功する農業経営者に共通する力とは?

 

では、どうしたらいいのか。

 

答えはシンプルです。

 

「人を使う力」を、経営者として育てていくこと。

 

農業は「技術」だけでなく、「マネジメント」でも構いません。

したがって、成功している農家は例外なく「人を使うのがうまい」です。

 

まとめ

 

最初は、親がやっている農業をただ継げばいいと思っていた。

 

家族で農業をやっていて結果を得て暮らしが成り立ったとしたらまずいと思っていた。

 

しかし、戦略親が引退するころ

初めての雇用型の農業の扉が開きます。

 

そこで初めて理想と現実のギャップに驚くことになるのです。

 

それでも、その壁を越えられる人は大きく成長します。

逆に、越えられないと感じた人は、思い描いていた理想とのギャップに苦しむかもしれません。

 

最初は、気楽な農業ライフのつもりだった。

野菜や果実を作るのが農業。 こんな幸せな職業はない。

とりあえず煩わしい人間関係から解放されるからです。

 

しかし、農業をやりながら雇用を始めると3倍以上のストレスがかかります。

 

こんなことなら会社勤めで働いていた方が楽だった・・・

 

雇われるストレスと、雇うストレス

あなたは、どちらに耐えられますか?

そして、どっちに挑戦してみたいですか?

 

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