令和のコメ騒動

令和のコメ騒動

こんにちは。農業パーソナルトレナーの山下弘幸(やましたひろゆき)です。

現在、農業講演家として全国の各農業団体で講演、セミナー研修など行っています。

農業歴35年。親もと就農から農業コンサルタントに転身し、

新規農業者、若手農業者、企業農業参入などサポートするために

”稼げる農業を実現する半歩先行く農業者”のオンラインコミュニティ

農業ビジネススクール(農ビジ会)を主催。

また、定期的に更新しているyoutube(農テラスチャンネル)では

全国の農業者へ「農業経営・農業ビジネス」の最新情報をお届けしています。

 

さて、今回の山下弘幸農ビジコラムテーマは

「令和のコメ騒動」について

読者の皆さんも今年は「コメが足らない」って話し聞かれていると思います。

背景にあるのは

今年も観測史上最も「暑い夏」になると予測されているってことですよね。

 

去年夏は高温の影響で、新潟県産コシヒカリをはじめ、

一部の産地で、不作や品質の低下などが起きたほか、

主に加工用に使われるコメが少なくなって、

代わりに低価格帯のコメの引き合いが増えたことなどで

 

今年はコメの価格が上がっているって報道が

世間を騒がせていますよね。

 

私のところにも

既にコメが足らない。農家を紹介してくれと、

幾つかコメ発注の依頼が舞い込んできています。

 

先日、同級生のコメ農家も売る米が

自作米だけでは全く足らないので

仲間のコメ農家から自社生産分の4倍量にあたるコメを

買い付けているといっていました。

 

実はこの前兆は2年前から起きていたんです。

2022年の7月の日経新聞の記事によれば

 

年間国内コメ需要はおよそ700万tに対して

令和4年産の主食用米の生産量が673万トンになるとの見通しを公表している。と

 

政府は、その時すでに

令和5年6月末の主食用米の民間在庫は適正水準の200万トンとなる見込みで、

在庫消費の進展により低迷する米価が上昇に転じる可能性もある。

との見通しを立てていたのです。

 

そして平成6年の観測史上最も暑い「猛暑」により

新潟を始め各地でコメが不作となった・・・

これが引き金となって、

 

今年6月5日の日本農業新聞でも

農水省が毎月まとめる民間在庫量は4月時点で180万tと

過去5年で最低の水準となっている。

2024年産の出来秋に向けひっ迫感が高まっていると

報じているんですね。

 

今回のコメ高騰は、1993年平成のコメ騒動を思い出しますよね。

 

当時、

全国のコメ生産量は783万tと前年から273万t(26%)減った。

 

これは食料難に陥っていた1945年以来の少なさだったそうです。

そこで政府はタイや米国から259万tを緊急輸入したんです。

 

ですが、日本人になじみない長粒種のタイ米は敬遠され輸入量の4割近い

98万tが売れ残り、多くは破棄されたんだとか。

 

私も就農して間もないころだったのですが、この出来事は鮮明に覚えています。

 

ただ、わが家は米農家ではない

ただの自家消費分だけの自作農家だったため

当時、このニュースは「対岸の火」だったので記憶は薄いのですが・・・

 

ですが、この出来事は、

途上国の貧困層に回るはずだったコメを裕福な日本が買い上げたため

国際的なコメ価格は急騰し、

日本は世界各国から大ヒンシュクを買っていたのだとか・・・

ですから、おそらく今回は同じ轍は踏まないと思います。

 

さて、このコメに関するトピックの背景をさかのぼると

農水省は1970年に減反政策を始め需要に合わせて生産を減らすことで

価格維持と農家保護に走ったことが始まりのようです。

 

国内で消費しきれないのなら輸出で稼ぎ有事の際には国内に流通させるとで

万一国内が不作でも混乱は緩和する。というった今とは真逆の政策もできたはずなのに

当時そういう発想を持つ人はいなかったのでしょう。

 

ちなみに減反を廃止すれば現在生産されている700万tのコメを

1700万tにまでできるという試算もあるそうです。

 

タラレバ的な話ですが、あの時、減反政策ではなく、

余ったコメは輸出すればよかったのにという議論が今になって、

にわかに聞こえてくるのも仕方のないことかもしれません。

 

また、ご存知の方も多いと思いますが、

日本は減反政策に国民の税金を3,500億つぎ込んでいるにもかかわらず

アメリカからはコメを毎年70万t輸入しているだとか。

 

政治の世界にも色々とご都合があるのでしょうが、

コメについて

そろそろ国民も色々と気づき始めているので

なんやかんや言い始めるのではないかと心配しています。

 

さて、ここからは山下の見解なのですが、今回予測される

「令和のコメ騒動」は農家にとって良い方向に向かえばいいのですが・・・

と思っています。

 

少なからずとも

コメが足りない!って情報が流れはじめると

とたんにみんながコメを食べ始める様になるのでは?と予測しています。

 

いままでパンとかパスタとか食べていた人も

やっぱり日本人はお米だよね~っ

みたいな感じで(笑)

 

そうなればありがたい。

 

これを機に

ちょっと高い値段でもいいから

「コメ農家から直接買いたい!って消費者が

 

たくさん増える事を期待しています。