こんにちは。農業パーソナルトレナーの山下弘幸(やましたひろゆき)です。
現在、農業講演家として全国の各農業団体で講演、セミナー研修など行っています。
農業歴35年。親もと就農から農業コンサルタントに転身し、
新規農業者、若手農業者、企業農業参入などサポートするために
”稼げる農業を実現する半歩先行く農業者”のオンラインコミュニティ
農業ビジネススクール(農ビジ会)を主催。
また、定期的に更新しているyoutube(農テラスチャンネル)では
全国の農業者へ「農業経営・農業ビジネス」の最新情報をお届けしています。
さて、今回の山下弘幸農ビジコラムテーマは
「マック農家とフェラーリ農家」についてです。
農テラス会員である伊藤一農園のメロンがいよいよ出荷開始されます。
金額は1玉5000円~10,000円。
皆さん、いかがでしょうか?
高いと思います?それとも妥当な値段だと思います?
伊藤さんは親父さんから引き継いだメロン栽培技術に誇りを持っています。
メロンを高く売りたい理由。
それは自分の父親の「誇り」を引き継ぎたいから。
伊藤さんのストーリーはこちらでご覧いただけます。
さて、私は全国の農ビジ会の会員や農テラス会員のみんなに
「高く売れ!」って何度も何度も口酸っぱく言っています。
理由はシンプルで農家が「利益」を得るためです。
しかし、ここに問題が2つあります。
ひとつは高い値段だと消費者が買ってくれないということ。
お洋服は何枚も買うのに、
スマホでゲームの課金はするのに
旅行の代金は惜しまないのに
お野菜、お米など日用品は安く済ませようとする。
農家に利益が残らないと農家は残らない。
ですから、見方によれば
極論ですが、消費者が農家を間接的に淘汰しているとも言えるのです。
ただ、
別に消費者を攻めているわけではありません。
なぜなら消費者は限られた予算(家計費)の中で食費を工面しなければならない。
給料が上がらない以上、食費、食材費を絞るのは当然のことなのです。
実は問題は消費者ではなく、生産者にあります。
これが問題のふたつめです。
生産者が安売りするのが問題だと思います。
いやー、山下さん、そういうけど高く売るとうれないからねえ~
もちろんその通り。高くすれば売りにくくなります。
ただ、高く売る努力は続けるべきなのです。
山下さん、やってますよ、高く売る努力。
毎日農作業やりながらもっといいモノを作ろうと頑張っているじゃないですか!
はい、そこが間違いです。
高く売るために「モノ」を磨こうとしてる時点でアウトです。
なぜなら、消費者は「モノ」「品質」「スペック」の良し悪しと
値段はリンクしていないからです。
マクドナルドと佐世保バーガー
どっちのスペックが高いかというと
佐世保バーガー(例え話です。マクドナルド関係者の方、気分を害しないでください)。
だけど一番売れているのはマクドナルド。
マクドナルドは大量生産するから安い
佐世保バーガーはそこに行かないと食べられない
だから高い。
つまり、希少価値が高いのです。
さて、農業に話題を変えましょう。
あなたの商品は大量生産ですか?であれば安い商流に乗るでしょう。
あなたの商品はそこに行かないと買えない、数が限られている、次期が限られている。
のであれば「希少性」が高いので高い商流に乗れるのです。
高く売るには高く売るための戦略が必要です
例えば
フェラーリには創業者エンツォ・フェラーリの時代から掟があり、
そもそも大量生産を絶対にしない。
だから
年間販売台数が1万台強しかなくても利益は高い。
例えば
22年でいえば出荷台数が1万3221台で営業利益は約1840億円。販売台数はトヨタ(23年3月期)の800分の1だが、1台あたりの利益は53倍もある。究極のダントツ経営だ。
農産物を高く売るには
「勇気」がいります。
その勇気とは・・・
一般消費者を相手にしないという決断する勇気です。
一般消費者にしてみれば
フェラーリはいらない。マクドナルドがありがたい。
だから一般的にはマクドナルド戦略を敷かねばならない。
だが、
農産物を高く売りたいのであれば
フェラーリのような高く売る戦略を敷かねばならない。
戦略無くして高く売れることはない。
むしろ、戦略がないから
高く売ることを恐れてしまう。
そうやって農家が我慢して安売りを続け、お金が足らなくなって
農家を辞める。
農業業界に戦略がなさすぎる。
これが日本の農業を弱体化させてきた。
農業経営戦略家でもある私は
まずは
農ビジ会、農テラス会のメンバーから
ちゃんと高く売る
ちゃんと利益が出る
フツーに持続できる
こういう農家を増やし続けていきたいと思います。